2011年10月19日水曜日

炭焼きの歌

民族・伝承・職人つながりで


火曜3講目は「生命の科学」だ。

机上で理論を学ぶというより、実物から観察して洞察を得ようという講義であり、3度に1度は教室を飛び出し、植物の「実物」を手にとって観察する。


先導する北元先生について今出川キャンパスを、はたまた御所を歩いて巡っていき、あらかじめ先生が目星をつけておいた植物を目の前にしてあーだこーだの説明を聞くというという、まっことアウトドアな授業だ。


今日は「対生」をテーマに御所でたくさんの植物を観察した。


一番に出会った植物は「ウバメガシ」であった。

同志社大学今出川キャンパスの南西角の横断歩道を渡ったところ、御所の北西の一角で、十数人の生徒が先生を囲んで解説に耳をすませる。目ではウバメガシを見たり、かわいい子を見たり、通行人を見たりしている。


北元先生は初老の割にはがっちりした体格をしている。白髪である。いつも同じ服装である。山吹色のシャツに深緑のチョッキといういでたちである。

真上からみれば一粒の白ゴマを囲む十数粒の黒ゴマという格好になっている。まあそんなことはどうでもヨシ

「ウバメガシ」は葉が厚く堅いので常緑樹であり、葉が平らに広がっているので広葉樹である。どうやら御所をぐるっと取り囲む生け垣のどこでも見られるようだ。


先生は説明する。

「この樹は加工するとお金になるから、色んなところに植えられてます」

「和歌山が有名ですが、この間の、私は記憶が悪いから何号だったかは忘れましたが、台風で、ダメになって非常に被害が出ました」

「加工して何になるでしょう…」
一同(???)
「実は、備長炭になるんです。紀州備長炭というのが有名ですね。備長炭と言えば何につかえるでしょう?君ならわかるでしょ」

俺「冷蔵庫とかに入れといて、消臭?脱臭?とかですか」

「ん~と消臭?ん~備長炭だからね~」

北元先生が望んでた答えじゃなかった場合高い確率で返答はうやむやにされるのだが、案の定うやむやにされて、

「汚い水をこれに通すと?」
一同「あー」
「きれいになるんですね。浄水の効果があります。ほかには」


今度は違う男の子が指され「君の家でバーベキューやったときに使ってたよね」
「いやあ~?」
「備長炭を使えば、おいしいバーベキューができるんです」


とりあえず、ウバメガシは備長炭の原料として有名らしい。

しかし、どうやってウバメガシから備長炭を作るのか?
そもそも、炭ってどうやって作るのか?
オクノに聞いてみると「わかんないですけど、木を焼くんじゃないですか?焼いた窯から取り出した木の幹ってかなりちぢまるんですよ」という。




ということは、ウバメガシを窯に入れて焼いてちぢこまったものが備長炭なんだろうか?


しかししかし、木なんだから焼いたら灰になってしまうんじゃないのだろうか??


ウバメガシの形とオクノの話と備長炭の形だけで作り方を想像するにはイマジネーションが足りなかったのでその場はあきらめたのだが、家に帰って調べてみたのでレポートします。




~~~~~~~樫(ウバメガシ)から備長炭を作る~~~~~~~



1.もちろん初めは原木の採集から始める。このとき不必要な枝は切り落とす。




2.「木ごしらえ」をする。

(「木ごしらえ」とは、窯のスペースを無駄なく利用するための下ごしらえである。自然に生えたウバメガシの幹は曲がっているので、ところどころに切れ目をいれ、そこに握りこぶし大の木片をかませることでまっすぐの状態に矯正する。まっすぐにすることで窯にびっしり入れられるようになる。)

(ちょっと説明とは関係ないけど。下の炭焼き職人のブログにわかりやすい写真あります。)


3.前日熱しておいた窯にウバメガシを入れる。(1日目)




4.窯の温度を高めるために入り口で火種となる雑木を燃やす。同時にウバメガシの水分を飛ばし乾燥させる。(2~3日目)


5.炭化させる。窯の温度が上がり水分がすべて飛んだあと、炭化が始まる。窯の温度は275℃あたりらしい。(4~6日目)

(どうして窯の中で火を出して木が燃え上がらないか、についての答え…木材の発火点は種類によって異なるものの、400~470℃だという。発火点とは、着火温度ども言われるようで、可燃物が火を出して燃え上がり始める温度のこと。)

6.精錬(ねらし、とも言うらしい)
今まではほんの空気孔程度しかなかったものを大きく拡げ空気を送り込む。こうして窯の温度を1000℃にあげる。

あれ!?

発火点を500℃以上もオーバーしている!!
もうどういうことなん。
正直挫折しそう。
眠たい。
お風呂もまだ入っていない。
ちゃんと睡眠をとらないとまた風邪ぶりかえすで?
しかしここまできたのだ、こんなところでレポートをあきらめてたまるかいな。

どうやら、樹皮や揮発成分だけが燃焼するらしい。樹木本体は一体どういった状態なんだろうか?燃えきって灰だけになったりはしないのだろうか??



このブログでは自分で炭作りに挑戦しているが、この日の日記を見てもらえばわかるように、炭になるはずだった木は炭化過程における何らかの失敗で全焼失してしまったらしい。


次のような考えはどうだろう??窯の空気穴の大きさを調整し、窯に入る酸素の量を制限することで、樹皮と揮発成分だけが燃える分だけの酸素だけを取りこむ。樹木本体は燃えることなくただただ温度だけが上昇する。
そうだそうだ、火が付くには酸素が必要なんだ。
この考え方はなかなか良い線いってるんじゃないだろうか。ただ、上記の作業6(精錬)では空気穴を大きく開ける、と書いてある。う~~、、、ん。曖昧な記述のページしか見つからなかったから、なんとも言いようがない・・・。

色々な画像を見る限りでは、木が内側からオレンジ色に点灯している、のだが…。あの状態は一体なんだ?酸素がないから点火には至らないというのが今のところ有力だが…。
こういう…




【発火点を越える1000℃の窯にあっても木が灰にならずに形を維持するのはなぜか】
今後の調査課題として保留だ。


7.窯出しと消化
6~10時間かけて窯からウバメガシを取りだす。
取り出したウバメガシは灰のベッドに寝かせ、上から消し粉と呼ばれる灰のようなものをかけて冷やす。

1000℃の窯から取り出してしまうということは、1000℃に熱されたウバメガシを酸素のなかに運び込むということなので、そんなことをしたら激しく燃え上がってしまうのではないだろうか??

下の動画を見てもらえれば、確かに火をあげて燃えているようだ。しかし、そこは迅速に消火活動をすることで灰にしてしまわないようにするのだろう。





以上。




感想
備長炭の作り方に関して以前よりもしっかりとしたイメージを持つことが出来た。しかし、木が発火してしまわない理由がいまいちはっきりしない。そこは今後の課題として調査を続けたい。
和歌山県では紀州備長炭を実際に作ることができる体験施設があるらしい。そこに行ってみたくなった。消臭効果があり、しかも叩くと良い音がするというので、備長炭を風鈴にした商品も手に入れることが出来るらしい。実に行ってみたくなってきた。



感想2
炭作りはハードだ。職人なんてすごい。不眠時間が長い、高熱での作業。炭焼き職人を目指した方のブログ。2005年の記事に「炭焼きになる」といった記事がり、2010年の記事には「元炭焼きの私には」といった記事がある。辞めてしまったのだろうか。炭焼きって単調な仕事そうやもんな。灰色、赤色、黒色、、、単調そうやね。
っていうかこの方のブログに漂う切なさはなんなんだろ……。



その他の参考URL
http://vw.wiwi.co.jp/u/tokusyu/wsePCixG8v7H9IpFWU06/
http://www.binchoukan.co.jp/newpage3.html

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